毎度おおきに。京都の鍵屋、らびっとキーサービスの清水です。
今回は引違戸の真ん中部分に、新規で召合錠の増設取り付け工事に伺って参りました。
現状は戸先にしか錠前が付いておらず、しかもその戸先錠が廃盤という大いにありがち路線だったもので、致し方なく引違戸の真ん中の合わさる部分に召合錠を新規で取り付ける事にした次第。
新規増設工事前がこんな感じ。なんの変哲もない引違戸錠の玄関ですね。
この真ん中の部分に、召合錠を取り付ける為の切り欠き穴を新たに開けていきます。
まずは凡その取り付け位置ににオートポンチで印をつけ、ドリルの垂直器を使って室外側の引き戸から室内側の引き戸まで、一気に穴を貫通させます。
垂直器を使う事で、外引き戸と内引き戸の切欠き穴が上下左右に位置ズレを起こすのを防ぎます。
召合錠の取り付けで難しいのは、室外側ユニットと室内側ユニットを垂直・水平方向で綺麗に正対した位置にセッティングする位置合わせです。
内外の錠前同士を正対させないと上手く作動せず、その位置を合わせるにも錠前が入り込む引き戸に空けてある切り欠き穴自体がズレてしまっていると、錠前が位置合わせをする為の動きが出来なくなるのです。
一度開けてしまった穴は、元には戻せません。
位置がズレたなら、合う方向に拡げればよいじゃないかと思われるかもしれませんが、そう簡単に行かないこともあります。
召合錠の本体寸法は、縦に細長い形をしています。
そして錠前を引き戸にはめ込む為に空けてある切り欠き穴と、その穴を隠す為に穴より大きめにせり出している錠前本体のエッジの部分との差は、ほんの数ミリしかないのです。
ズレているのを合わせる方向に切り欠き穴を拡げるにも、あまりに豪快に拡げ過ぎると、錠前本体で隠せる範囲を越えてしまったら下穴が見えてしまう事になります。
こうなってしまってはミス施工となります。
まあまだ救済方法は有って、エスカッションと呼ばれる穴隠しのプレートを錠前と引き戸の間に挟むことで、少々見えてしまう下穴は隠せます。
下穴に沿って、ホルソーでくり抜いていってる途中です。
耳を飛ばして、だいたい長方形の切り欠き穴に近づいてきました。
施工の写真は前後してしまうのですが、この引違戸はもう一つ難題がありました。
錠前取り付け部分の、室内外の引き戸それぞれが向き合う内側の部分に煙返しのエラがあるタイプ。これをそのままにしては錠前が付きません。
邪魔なこいつをディスクグラインダーでバリバリと切り飛ばしてやります。
分かりますかね。このアルミサッシが白く切り取られた部分が真ん中らへんに見えると思いますが、ここのエラみたいのが上から下までズーっと付いていて、錠前取り付け部分にちょうど干渉する形で頑張っとるんです。これを除去するのが一番やっかいです。
こいつを切り裂き引き剥がし、穴を綺麗な長方形に成形したなら、もう終わったようなものです。
召合錠の新規取り付けの場合、自分で切り欠き穴を開けていけるので、上手に穴を開けさえすれば後は!錠前の位置合わせなど勝手に合ってしまうが如くに簡単です。
綺麗に付きました~。
これは室内側。
今回取り付けたのは、MIWA社製のPSSL09ー1LSという召合錠。
写真では確認しずらいかもしれませんが、この室内側の施解錠用のリフター(上下に動かすツマミみたいなヤツ)に小さいボタンが付いていまして、このボタンを指で挟んで動かさないと開錠されないという防犯装備が付いています。
引違戸錠には戸と戸の間に隙間が有りまして、その隙間から針金を入れてリフターを引き上げて開けるという事を防ぐ為の仕組みになります。
今回のお宅では、従来使っていた戸先錠が故障・廃盤という流れから、召合錠を新規取り付けするしかなかったのですが、そういった事情ではないお宅でも、召合錠を取り付けるのにはメリットが多いことからお勧めできます。
召合錠は錠前1つで2枚ある引き戸を一気に施錠してしまえます。
戸先錠では内外の引き戸にそれぞれ1個ずつ錠前が必要となり、交換の際などもも2倍の料金がかかるという事になりがちです。
また、召合錠の場合はメーカーが違っても、それぞれがある程度大きさなども似通っていますので、仮に故障・交換となっても替えの錠前の選定に困らずにスムーズに取り替えが出来ます。
一方で戸先錠は寸法も形もバラバラなので、全く同一のメーカー・型番でなければ取替は不可能と考えてもらってもよいくらいに、部品調達が困難になりやすいです。
状態の悪い戸先錠をメインでお使いの場合は、召合錠の新規増設工事をお考えになってはいかがでしょうか?
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