毎度おおきに。京都の鍵屋、らびっとキーサービスの清水です。
今回はお得意様のご依頼で、中古住宅のリフォームに伴う錠前の交換に出動してきました。
現在使われているのは、俗にいう装飾錠と呼ばれるタイプです。
現在ではあまり新規にシリーズを興されることはなくなったタイプで、主にバブルの時代である今から約30年前に盛んにリリースされた錠前の種類です。
握手するように握るノブでもなく、押し下げるレバーでもなく、親指を立てて握る大きめな取手の様な形をしていて、華美なレリーフ模様が特徴の錠前がこのカテゴリー。
現在付いているのがこのGOALのオークという装飾錠。交換前の現場写真を取り忘れたのでこちらで^^;
ちなみに装飾錠はサムピースハンドル錠という種名も持っております。
この手の装飾錠は主にバブル期に建てられた建築物(戸建て・ビルを問わず)のドアに使用されていて、その多くが今や寿命の時期を迎えつつあります。
鍵穴の下にある小さいスイッチを親指で押し下げる事で、ドアを仮止めしているラッチが引っ込みドアが開きます。
しかしこの構造が問題で、親指が加える垂直方向への僅かな動きを、ラッチを引っ込めるという水平方向への運動に変換するべく備えられた可動部分にかかる負荷が複雑で、経年変化により他の錠前シリーズよりも悪くなってきたときの症状が凄くキツクでるのです。
というわけでこの住宅でもサムラッチの操作が固く、また鍵での施解錠も固くなって使いづらいということで、交換の運びとなったわけです。
しかしこの装飾錠。交換とか修理と一口で言ってもそう簡単ではありません。
というより、他の錠前シリーズと比べると交換はかなり大変です。
なぜなら、バブルの当時に社会全体を覆い尽くしていた実体とかけ離れたマネーの波に乗って、錠前メーカー各社もその芸術性を自社のプロダクツに乗せて世間に発信することに制約の無い狂乱を楽しみまくっておりました。
その結果、錠前メーカー各社から何種類もの装飾錠が乱発され、そのどれもがサイズも違うデザインも違うの爛熟期を絵に描いたような状態。
祭りの熱は去って幾年月。時代を彩った高級錠たる装飾錠たちの殆どは、祭りの後の寂しさを体現するかのように、廃盤という憂き目に遭っておる現代。
寿命を迎えた装飾錠たちは、交換に伴って自分の生まれた時代の薫り今に伝えるかのように、独自の取り付け穴を隠す・加工する為の多大な工程からくる工事費の増加をもたらします。
このGOALのオークはその中でもまだ、形はシンプルでドアに空いている切り欠け穴も大人しく、加工しての本体セット交換がしやすいです。
しずしずと外していき、そしてガリガリと穴を広げる加工をしていきます。
ハイ。本体まるごとセット交換の完了~!綺麗に付きました。
今回お世話になったのは長沢がリリースしている古代という錠前ブランドのサムラッチ取替錠です。
ご覧のとおり、大きめな本体とその下に敷かれたエスカッションで、既存の装飾錠がたとえどんな歪な切り欠けで挑戦してきても、大概の奴にはこれで対応して隠せてしまうという優れものです。
鍵の種類ももちろんディンプルキーです。防犯性もアップして安心です。
装飾錠の取替は私の経験値においてはですが、ほぼ9割の確率で加工が必要となります。
この手の錠前が付いていて、今まで一度も交換したことがなく且つ、調子が悪い感じがしておられる場合は、早めに対策を打って下さることをお勧めします。
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