毎度おおきに。京都の鍵屋、らびっとキーサービスの清水です。
今回はお得意先のご依頼で、古民家の勝手口にある1枚引き戸への補助錠の新規取り付けに出動しました。
こちらのお宅に限らず、一軒家の勝手口というものは防犯的には危険性の高いポジションとなります。
なぜなら、やはり名前の通り正面ではなく裏手や隣家との間に当たる家の横の奥などに有るため、通行人や近所の人の視線に触れる可能性が低いからです。
従って侵入者から見れば、まずはここを侵入口にするべくチョイスする可能性もまた高いからです。
ご多分に漏れず、こちらのお宅でも勝手口らしい勝手口であり、また家が傾斜地に立っている関係で勝手口側の道路が一段上に高く上がっている。
さらにその道路と自宅の間を仕切る塀がまたかなりの高さを誇るため、勝手口のある家の裏手全体が、まるで半地下の様な雰囲気を呈していたのです。
物も多く置いてあり、かなりの閉じられた空間的な雰囲気は侵入を考えるものの食指を動かすには十分な環境でした。
つまり、残念なことにこの引戸より侵入・窃盗被害に遭われたのでその対策として、錠前を一つ増設して欲しいというご希望でした。
既に泥棒に入られた後に錠前を新規でつけるというのは、一歩出遅れ感があって悔しいものですが、繰り返されない為にも事後の対策は非常に価値があります。
取り付ける現場はこれ。1枚引き戸のアルミ戸で、勝手口にはスタンダードなスタイルですね。
取り付け予定箇所をアップで見るとこんな感じ。既に付いているのは彫り込み式の戸先鎌錠。
旧来のタイプ。すぐ空きます。
さて、早速新規で補助錠を取り付けていきましょう。
オートポンチでドリルの穴を開ける場所に位置決めをしていきます。
ずんずん切り欠け穴を開けていきます。何百個と取り付けて来ましたが、未だに新規で穴を開ける時は緊張感が高まります。お客様の家の財産に穴を穿つのですから、後戻り不能の作業というプレッシャーに慣れることはありません。
本体は無事に設置完了。問題はここから。
こういったアルミ引き戸の補助錠には、ご覧のような戸の室内側に錠前本体部分が乗っかる形で取り付けるモノを選ぶことが多いです。この形の錠前の総称を、「面付け錠」といいます。
面付け錠は先に写真でお見せした彫り込み錠という戸の内部に本体機構を埋め込む形のものと違って、後からの増設で施工が簡単という点がメリットです。結果として、錠前の新規取り付け工賃も安く抑えられます。
ただ難点として、受けの取り付けが難しいということが挙げられます。
アルミの引き戸の戸先、つまり壁側の戸が閉まる時に当たる部分の枠の形状が複雑な形をしていることが殆どで且つ、受けの部品を取り付ける為にビスを打とうにも、表面からは見えない立板の補強がアルミ枠と壁の間に隠れていたりして、四苦八苦ということもままあります。
そのため、引き戸の補助錠をご自分で取り付けてみよう!とお考えになる一般の方には、かなりの勇気と根気と、丸一日くらいの作業時間をご用意頂くことを強くお勧めします。
その上でチャレンジしてみたものの、やっぱり受けと本体の段差を解消してうまく作動するように取り付けるのはもう無理~~!自分にはもう無理~~!!(TдT)となった暁には、私たちの様な錠前業者をお使いください。
さて、そこら辺の難関も無事にクリアして、綺麗に取り付けが完了いたしました。
作業時間は約40分です。
こちらは室外側からの様子。
これは室内側から鍵を開け締めするサムターンを取り外した様子。
見ての通り大きいガラスがはまっていますので、ガラスを割って手を入れて鍵を開けられないようにするために、施錠後にサムターンが取り外せるギミックを持ったシリーズです。
こちらは施錠時の室内側からの様子。
先にお話した、本体と受けの関係がよく見えます。この受けが着地できるサッシの外枠とそこに打つビス、そして本体から来る施錠用のカマとの位置関係を上手く調整して設置出来るかが、我々の様な鍵屋の仕事です。
ちなみに今回取り付けさせて頂いた錠前のは、MIWA社のU9ーND2Sというタイプです。
鍵穴もピッキングに強く、サムターンもポロリと取り外せる機構を備え、引き戸に取り付ける補助錠としての弱点を所々克服してくれているナイスな錠前です。
ワンドアツーロック体制となり、安心感もアップです。
タイトルに書いた、引き戸の戸先に補助錠を取り付けるのが如何に難しいかが、少しでもお伝えできれば幸いです。その家ごとにで戸先と戸受けの構造は千差万別。
毎度頭を捻って、集中力を高めてミスをしないように向き合わないと、けっこうミスしやすいタイプの設置場所なのです。
しかし日本には多く使われている、ましや京都には凄く多い引き戸や引き違い戸。
防犯力は高くない入り口ドアの分類になりますので、防犯力向上の見直しは先延ばしすることなく取り掛かって、転ばぬ先の杖を手にして欲しいと切に願うばかりです。
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