毎度おおきに。京都の鍵屋、らびっと清水です。
今回はトヨタのカリーナのインロック開錠に出動してまいりました。
例によってカリーナの車名の意味を調べてみました。
すると、意外な意味をもっていました。
カリーナ・・・りゅうこつざ、竜骨座、Carinaの意。
竜骨座・・・?星座なのか?と興味が湧き調べ続けます。すると竜骨とはキール、すなわち船の船底に使用されている構造体で、船体中央の船首から船尾にかけて渡されている柱の様なもの、或いはそれに付随する水中構造物の事。
では何故に竜骨なのか。この竜骨座はもともとアルゴ船座あるいは単にアルゴ座というかなり昔からある星座の一部なのです。
アルゴ船座というのは、今では使われなくなっているそうですが、もともと凄く広大な範囲を有した星座で、大きすぎるので1922年の第1回国際天文学連合総会において現行の88星座が提案された際、従来「アルゴ座」とされた領域は、とも座、ほ座、りゅうこつ座の3つに分けられたのだそうです。
この船の形を模した星座を分割したので、船の構造体の名を冠した星座ができたのですね。
ちなみに他の2つの星座ですが、帆座は字のとおり「帆」、そしてとも座は「艫」すなわち船尾の事になります。
このアルゴ座の由来になっているものを調べていく内に、芋づる式に読み進めていく深さが有って面白かったです。
ギリシャ神話のイアーソーンとかヘーラクレースとかの英雄譚にまつわる部分で出て来る、巨大な船を作ったのがアルゴスという人物だった事が名前の由来だそうです。
個人的にここで「お!アルゴス!」と思わず嬉しく反応してしまったのが、ファミコン熱中時代に大好きで何回もクリアしまくった『アルゴスの戦士』というゲームが有ったから。ネーミングって、みんな実は結構考えてはるんだなぁと感心。
そんなカリーナは、京都の由緒ある山の上の神社の前にて困ってはりました。
到着してお客様に状況を伺うと、私が来るまでの間に、ご自身で窓ガラスの隙間からドアの内部に針金やらを差し込んで開けようと格闘されたそうです。むむぅ・・・あの状態になっていなければいいが、と思いつつも開錠作業に移ります。
無事に2分で開錠。シリンダを開錠方向に回して戻し、ドアハンドルを引っ張るも・・・あれ?開かない。
え?まさか逆方向回し?いやそんな筈はない。この車種のトヨタなら、こっちで間違いないけど?と思っていたら、お客様が「あ!鍵は開いてる!と助手席のドアの内側を見て、施解錠ツマミが開錠になっているのに気づかれた様子。
ということは、やはり・・・?
助手席から回り込んで中に入り、内側から運転席のドアを開けると開きました。
つまり、危惧した事態に陥っているのが確定した瞬間でした。
お客様ご自身で頑張った結果、ドアを外から開けるハンドル部分のロッド棒が外れてしまったのです。
こうなると、ドアの内張りを剥がして嵌めてあげるしか手はなく、私でも実は直せたのですが、残念ながら今回の出動契約では範囲外の作業となりますので出来ません。
掛かり付けの車屋さんに持ち込んで頂くようにご案内して終了となりました。
今回は残念な事に、車のドアの内部では大切な『骨』のような部分に当たるところがポロっと外れただけで、こんなにも不便な物になってしまうという事例でした。
車のドアの内部も、船の水中部分のキール(竜骨)も、普段は見えない所。
往々にして見えない部分とは、弱かったり換えのきかない大切な部分だったりします。
そういう部分の探索には、これからも慎重に挑んでいきたいなぁと、自分も改めて学ばされた気がしました。